BtoBマーケティングは「組み合わせ」がカギ|効果的な掛け合わせ例
はじめに
どうして今のBtoBマーケティングでは、「組み合わせ」が欠かせないのでしょうか?それは、世の中に情報があふれていて、一つの方法だけではお客さんの心をつかみ、信頼関係を築き、最終的に買ってもらうことがとても難しくなっているからです。
お客さんは、何か困っていることを見つけてから、解決策を探し、そして決めるまでの間に、いろんな情報を比べ、たくさんの人が関わって慎重に判断します。だからこそ、マーケティング担当者は、お客さんの行動全体をみて、それぞれの段階で、一番良い情報や体験を提供するために、いくつかの方法を連携させる必要があるのです。
この記事では、お客さんがどういう気持ちで行動するのかを考えながら、効果的な「組み合わせ」の理由と、具体的な例を詳しく見ていきましょう。
1. なぜ「組み合わせ」がBtoBマーケティングで重要なのか
1-1. 一つのやり方だけではダメな理由と、組み合わせるメリット
BtoBマーケティングで一つのやり方だけに頼るのは、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうことにつながります。
例えば、ブログ記事などで情報を提供する「コンテンツマーケティング」は、お客さんとじっくり関係を築くにはいい方法ですが、すぐに結果が出るわけではありません。一方、「広告」は、短期間でたくさんの人に見てもらえますが、ずっと効果を出すには工夫が必要です。それぞれの方法は、得意なこともあれば、苦手なこともあります。
しかし、いくつかの方法を戦略的に組み合わせると、お互いの弱点を補い、単体では出せない大きな効果を生み出すことができます。これはただ足し算するのではなく、かけ算のような相乗効果を生むのです。
たとえば、質の良いブログ記事をSEO(検索エンジン最適化)で検索結果の上位に表示させて、困っているお客さんに見つけてもらいます。そして、その記事に興味を持ったお客さんに、一人ひとりに合わせたメールで、もっと詳しい情報を提供すれば、お客さんとの関係を段階的に深め、買いたい気持ちを育てることができます。
このように、「組み合わせ」は、お客さんと何度も接する機会を作り、複雑な購買プロセス全体を効果的にサポートする、大事な戦略になります。
1-2. BtoBのお客さんはどうやって情報を集めるのか
BtoBのお客さんは、個人的な感情よりも、会社として目標を達成したり、課題を解決したりするために買い物をします。そのため、情報を集めるプロセスはとても慎重です。客観的なデータや、専門家の意見、他の会社の導入事例などを徹底的に比べて検討します。また、買うかどうかの決定には、複数の部署や担当者が関わり、それぞれの立場で評価が行われます。
こうしたお客さんの行動を深く理解することが、「組み合わせ」戦略を成功させるための基本です。ただ情報を発信するだけでなく、お客さんがどんな情報を、いつ、どんな形で求めているのかを読み解き、それに合った方法を組み合わせる必要があります。
例えば、製品の基本的な機能はウェブサイトや動画で紹介し、より専門的な技術情報や導入後のメリットは、詳しい資料(ホワイトペーパー)で提供する、といった使い分けが考えられます。お客さんの疑問や不安をさまざまな角度から解消し、購買プロセスをスムーズに進めるための情報提供こそが、「組み合わせ」の本当の目的です。
1-3. 複雑な顧客行動に合わせた全方位的なアプローチ
現代のBtoBマーケティングでは、お客さんの行動はさらに複雑になっています。オンラインで情報を集めるのが主流ですが、展示会やセミナーでの対面コミュニケーションも依然として重要です。SNSも、情報収集や意見交換の場として見過ごせません。購買プロセスも、一つの道筋ではなく、複数のチャネルを行ったり来たりする複雑なものになっています。
このような複雑な顧客行動に対応するには、一つのマーケティング方法だけでは不十分です。さまざまなチャネルを組み合わせることで、お客さんがどんな情報源に触れても、自社のメッセージがきちんと届くようにする必要があります。
例えば、展示会で製品に興味を持ったお客さんに対して、SNSで関連情報をフォローアップしたり、オンラインセミナー(ウェビナー)への参加を促したり、一人ひとりに合わせたメールで追加情報を提供したりすることで、お客さんとの関係を途切れさせず、買いたい気持ちを高めていくことができます。「組み合わせ」は、このように複雑な顧客行動全体を捉え、全方位的にアプローチするための、なくてはならない戦略なのです。
2. 基本的な施策の種類とそれぞれの役割
BtoBマーケティングにはたくさんのやり方がありますが、ここでは、お客さんの購買段階ごとに分けて、それぞれの役割と効果的な「組み合わせ」の考え方を見ていきましょう。
2-1. 認知・興味の段階で効果的な「組み合わせ」
この段階のお客さんは、まだ自分の課題に気づいていなかったり、漠然としか認識していなかったりします。マーケティングの目的は、自社の存在を広く知らせ、お客さんの関心を引き出すことです。
2-1-1. コンテンツマーケティング × SEO
お客さんの役に立つ質の高いブログ記事などを書き、SEOでお客さんが検索したときに上位に表示されるようにすることで、潜在的なお客さんに見つけてもらい、最初の接点を作ります。
2-1-2. SNS × ウェビナー
SNSで幅広いお客さんにリーチし、目を引く情報発信で興味を持ってもらいます。そして、専門的な知識を深く伝えられるウェビナーに誘導することで、お客さんとの関係をさらに深めます。
2-2. 検討段階で効果的な「組み合わせ」
この段階のお客さんは、自分の課題をはっきり認識し、具体的な解決策を探し始めています。マーケティングの目的は、自社の製品やサービスが最適な解決策であることを具体的に示し、他の競合と比べられたときに優位性を確立することです。
2-2-1. ホワイトペーパー × ターゲティング広告
お客さんの課題解決に役立つ専門的な資料(ホワイトペーパー)を作り、それを本当に必要としているお客さんに、ターゲティング広告を使ってピンポイントで届けます。こうすることで、見込みの高いお客さんを効率的に集め、その後の育成につなげます。
2-2-2. 顧客事例 × パーソナライズされたメールマーケティング
実際に自社の製品やサービスを導入して成功したお客さんの事例を紹介し、製品の信頼性を具体的に示します。さらに、そのお客さんの事例の内容や、見込み客の過去の行動に合わせて、一人ひとりに合ったメールを配信することで、深い信頼関係を築きます。
2-3. 購買・契約の段階で効果的な「組み合わせ」
この段階のお客さんは、最終的な決定に近づいています。マーケティングの目的は、購入への最後の後押しとなる情報を提供し、残された不安を解消することです。
2-3-1. 個別デモ動画 × 1対1の個別相談
見込み客のニーズに合わせて作ったデモ動画で、製品やサービスを導入した後のイメージを具体的に伝えます。さらに、専門の担当者による1対1の相談で、個別の疑問や不安に丁寧に答えることで、最終的な購入を力強く後押しします。
2-3-2. 顧客事例の多角的な紹介 × リターゲティング広告
既存のお客さんの成功事例を、テキストだけでなく、動画やインタビュー記事など、さまざまな形式で紹介します。そして、一度ウェブサイトを離れてしまったお客さんにも、この成功事例をリターゲティング広告で再度見てもらうことで、もう一度検討してもらい、購入への意欲を再燃させます。
3. よくある組み合わせとその考え方
ここでは、よく使われていて、効果が出ている組み合わせと、その裏にある考え方をさらに詳しく見ていきましょう。
3-1. 広告 × ホワイトペーパー
考え方: 広告で多くの人に知ってもらい、ホワイトペーパーで質の高いお客さんを効率よく集める。
広告の素早いリーチ力と、ホワイトペーパーという専門的な情報の組み合わせは、短期間で、本当に課題を解決したいと思っている質の高い見込み客を効率的に集めることができます。
3-2. SEO × メルマガ
考え方: 検索から興味を持ってくれたお客さんを安定的に集め、メルマガで継続的に信頼関係を築く。
SEOでウェブサイトへのアクセスを増やし、メールマガジンで業界のトレンドや役立つ情報を定期的に送ることで、お客さんとの関係をじっくり深め、将来の購入につなげます。
3-3. ウェビナー × ターゲティング広告
考え方: ターゲティング広告で関心のあるお客さんだけをウェビナーに集め、深い話でリードの質を高める。
SNS広告や業界特化型メディアの広告を使い、特定の課題に興味がある見込み客をウェビナーに効率的に集めます。ウェビナーで専門的な知識を共有し、質疑応答で交流することで、関係を深め、購買意欲の高いリードを獲得します。
4. 組み合わせを考えるうえでの基本原則
効果的な「組み合わせ」戦略を立てて実行するには、いくつかの大切な基本原則があります。
4-1. お客さんの行動全体を考える
マーケティングを組み合わせる上で一番大切なのは、お客さんが製品やサービスを知ってから、購入、そしてファンになるまでの全プロセス(購買ジャーニー)を全体的に見ることです。お客さんが今、どの段階にいるのかを正確に把握し、その段階のニーズや不安に応えるための方法を組み合わせる必要があります。
4-2. 自社のリソース、目標、顧客の特性をバランスよく考える
たくさんの方法を組み合わせるのが理想ですが、現実的には、自社の予算、人員、時間といった限られたリソースを考える必要があります。また、「何を達成したいのか(目標)」と「どんなお客さんをターゲットにするのか(顧客特性)」も重要です。この3つの要素のバランスを考えて、無理なく実行できて、目標達成に役立つ組み合わせを見つけましょう。
5. 中小企業ならではの「組み合わせ」戦略
中小企業は、大企業に比べて使える予算や人が限られていることが多いです。しかし、規模が小さいからこそ、素早い意思決定や、お客さんとの距離が近いという強みがあります。
5-1. 人とのつながり × 一人ひとりに合わせたオンライン施策
中小企業は、経営者や社員の個人的なつながり、既存のお客さんからの紹介など、強い人的ネットワークを持っていることがあります。このつながりを、一人ひとりに合わせたオンライン施策と組み合わせることで、大企業には真似できないきめ細やかなマーケティングを展開できます。
5-2. 低予算で実現するクリエイティブな「組み合わせ」
限られた予算で効果を最大化するには、高額な広告に頼るのではなく、無料のツールや安価なサービスを上手に組み合わせることが大切です。
例えば、無料のSNSと、無料のウェビナーツールを組み合わせることで、お金をかけずに認知度アップとリード獲得を実現できます。
6. 中小企業でもできる組み合わせ戦略の設計手順
中小企業が「組み合わせ」戦略を無理なく始めるための具体的な手順を説明します。
6-1. まずは「目的」と「お客さん」を明確にしたシンプルな組み合わせから始める
最初からたくさんのことをやるのは大変です。まずは「何のために(目的)」、そして「誰に(ターゲット)」アプローチするのかをはっきりさせましょう。その上で、その目的に一番効果的な「シンプルな組み合わせ」から始めてください。
例えば、「特定の業界のお客さん向けにブログ記事を書き(コンテンツマーケティング)、それをSNSで告知する(SNS)」といった組み合わせです。小さく始めて、試してみて、改善していくサイクルを回すことが重要です。
6-2. データに基づいた分析と柔軟な改善を続ける
一度組み合わせを実行したら、必ず結果を分析してください。ウェブサイトのアクセス数や、問い合わせの数など、目標に対する効果を評価し、どの組み合わせが一番良かったのか、どこを改善すべきかを明確にします。
そして、その分析結果に基づいて、やり方を少し変えたり、別の組み合わせを試したり、柔軟に改善を繰り返してください。市場や顧客の行動は常に変わるので、一度成功した方法がずっと通用するとは限りません。データに基づいた分析と、変化に対応する柔軟な姿勢こそが、中小企業が限られたリソースで最高の効果を出すためのカギとなります。
まとめ
BtoBマーケティングにおける「組み合わせ」は、ただ複数のやり方をやるのではなく、お客さんの行動全体を考え、目標を達成するための戦略的な考え方です。情報があふれ、お客さんの行動が複雑な今の時代に、一つの方法に頼るのではなく、お客さんとの様々な接点をうまく連携させることで、より深い関係を築き、確実な成果につなげることができます。
特に、リソースが限られた中小企業では、自社の強みと顧客を深く理解し、柔軟な発想と改善を繰り返すことで、独自の「組み合わせ」戦略を築くことが大切です。まずはシンプルな組み合わせから始めて、データを分析し、改善を繰り返していけば、きっと自社にとって最高の戦略が見つかるはずです。
もし、あなたが中小企業の担当者で、どの組み合わせから始めるべきか迷っているなら、まずは「お客さんの声を聞くためのアンケート」と「アンケート結果に基づいた一人ひとりに合わせたメールマガジン」というシンプルな組み合わせを強くお勧めします。なぜなら、お客さんのニーズを直接知り、それに合わせた情報を提供することは、信頼関係を築くための最も重要な土台となるからです。
