受注から逆算するBtoBウェブマーケティング戦略の立て方

「ウェブを使って、もっとしっかり成果を出したい」

もしあなたがBtoB企業のウェブ担当者として、そう思っているなら、それは当たり前のことです。SEO、広告、SNSなど、新しい方法が次々に出てきて、何から手をつければいいか迷ってしまいますよね。特に、使えるお金や人が少ない中小企業にとって、一度の失敗も許されません。

この記事では、そんな悩みを解決するために、「受注」という一番の目標からさかのぼって考えるBtoBウェブマーケティングの戦略を、分かりやすく説明します。表面的なやり方だけではなく、その裏にある考え方や、具体的な戦略の立て方を理解することで、あなたの会社の成長に本当に役立つマーケティングができるようになります。この記事を読み終える頃には、情報に惑わされることなく、自信を持って仕事を進められるようになるでしょう。


1. 受注からさかのぼって考えるマーケティング戦略

1-1. なぜ受注からさかのぼる考え方が大切なの?

多くのBtoB企業がウェブマーケティングで失敗する原因は、「とりあえず」で手当たり次第に施策を始めることです。「とりあえずブログを書いてみよう」「SNSを始めてみよう」といったやり方では、それぞれの施策がバラバラで、なかなか良い結果につながりません。

受注からさかのぼって考えることの最も大事なポイントは、「何のためにこの施策をやるのか?」という目的を常に意識することです。

最終目標である「受注」をはっきりさせ、そのために必要な中間目標(商談の数、見込み客の数、ウェブサイトへの問い合わせ数など)を決めます。そして、この目標を達成するために、「どんなお客さんに」「どんな価値を」「どんな流れで」提供すれば受注につながるかを細かく考えます。

この方法なら、すべてのマーケティング活動が「受注」という一つの目標にまとまります。無駄な作業をなくし、本当に効果のある活動に時間やお金を集中させることができます。人やお金が限られている中小企業にとって、この考え方こそが、大きな会社と戦っていくためのカギになります。

1-2. ウェブマーケティング全体の流れと戦略の立て方

受注をゴールにした戦略を立てるには、ウェブマーケティング全体の流れを正しく理解することが必要です。

戦略を立てるステップは、次のようになります。

会社の目標とマーケティングの目標をつなげる
会社の売上目標などを明確にし、それを達成するためにマーケティング部門が何をすべきか(新規顧客の獲得数など)を具体的に決めます。

理想のお客さん像(ペルソナ)を深く知る
年齢や役職だけでなく、そのお客さんがどんな悩みを抱え、どうやって情報を探し、誰が購入の最終決定をするのか、何を大事にしているのかを深く考えます。この理解が深いほど、施策の精度が上がります。

お客さんがたどる道のりを細かく描く
お客さんがあなたの商品やサービスを「知らない」状態から「買う」までの心の動きや、情報に触れる場所を具体的に書き出します。それぞれの段階で、お客さんが何を知りたいか、どんな壁にぶつかるかを把握します。

課題とチャンスを見つける
お客さんの道のりの各段階で、お客さんの悩みと、あなたの会社が提供できる価値がどこでつながるかを見つけます。競合の状況も分析し、自社だけの強みや、まだ誰も手をつけていないチャンスを探します。

最適な施策の組み合わせを考える
お客さんが情報に触れる場所で、どんな情報を伝えればいいか、SEOや広告、ホワイトペーパー、ウェビナー、メールなどの施策をどう組み合わせるかを考えます。この組み合わせが戦略の肝です。

目標を測るための指標(KPI)を決める
アクセス数だけでなく、見込み客の質や商談につながった割合、顧客獲得にかかった費用など、最終的な目標への貢献度を測るための具体的な数字を決めます。

計画とリソース(お金、人)を決める
戦略とKPIに基づいて、誰が、いつ、何を、どうやるかという具体的な計画を立て、必要な予算や人員を割り当てます。

実行、分析、改善を続ける
施策を実行したら、定期的に効果を測り、データをもとに分析し、改善を繰り返します。この地道な改善が、戦略の精度を上げ、成果を持続させる秘訣です。

1-3. 「最終ゴール」から逆算する考え方

この考え方は、目標を立てるだけでなく、目標達成に必要なことを細かく分解してさかのぼっていくことです。例えば、「年間10件の新規受注」というゴールを設定した場合、

10件の受注には、何件の商談が必要だろうか?

その商談を生むには、質の高い見込み客(ホットリード)が何人必要だろうか?

ホットリードを獲得するには、ウェブサイトから何件の問い合わせや資料請求があればいいだろうか?

問い合わせや資料請求を増やすには、ウェブサイトへのアクセスが何件必要だろうか?

アクセス数を増やすには、どんなキーワードでSEO対策をすればいいか?どんなコンテンツを作るべきか?広告はどう使うべきか?

このように、最終ゴールからさかのぼって、具体的な施策レベルまで考えを落とし込んでいきます。このプロセスを経ることで、それぞれの施策が最終目標にどう貢献するかがはっきりし、無駄な施策をなくして、効果的な施策に集中できます。

1-4. 見込み客のフェーズを分けて考える

BtoBの購買プロセスは、複数の人が関わり、時間をかけてじっくり検討されることが多いです。そのため、それぞれの段階で、お客さんの心の動きや知りたいことを深く理解し、それに合った施策を行うことが非常に大切です。

1. 認知・課題認識フェーズ

お客さんの状況: まだあなたの会社や商品を知らない、または自分の悩みがはっきりしていない段階。
やるべきこと: 多くの人に届くコンテンツマーケティング(役に立つブログ記事など)やSEO、広告が有効です。お客さんの隠れたニーズに気づかせることが重要です。

2. 情報収集・比較検討フェーズ

お客さんの状況: 自分の悩みが分かり、解決策を探し始め、いくつかの選択肢を比べている段階。
やるべきこと: 具体的な解決策を示すホワイトペーパー、成功事例、サービス紹介資料、ウェビナーなどが効果的です。専門的な知識を提供するホワイトペーパーは、他社との差別化や信頼獲得に役立ちます。

3. 意思決定フェーズ

お客さんの状況: 候補をいくつか絞り込み、最終的に決める段階。
やるべきこと: 個別の相談、デモンストレーション、無料のお試し、詳しい事例説明などが有効です。営業部門と協力して、お客さんの疑問や不安を取り除くことが大切です。

4. 導入・活用フェーズ

お客さんの状況: 商品やサービスを使い始めた段階。
やるべきこと: 使い始めのサポート、使い方の説明、よくある質問集、カスタマーサポートが重要です。お客さんに「買ってよかった」と思ってもらい、長く使ってもらえる関係を作ります。

5. 継続・ロイヤルティ向上フェーズ

お客さんの状況: 導入後も継続して使ってもらいたい段階。
やるべきこと: 定期的な情報提供、追加の提案、お客さんの声を聞いて商品改善につなげることなどが大切です。お客さんとの良い関係を続けることが、安定した収益につながります。


2. 必要なマーケティング施策とその役割

2-1. SEO・広告・ホワイトペーパー・ウェビナー・メールの役割分担

ウェブマーケティングの主な施策には、それぞれ違う強みがあります。これらを理解し、戦略的に組み合わせることが大切です。

SEO(検索エンジン最適化): 検索で上位表示を目指し、悩みを持っている質の高いお客さんを長期間にわたって安定して呼び込む役割です。コンテンツマーケティングと組み合わせることで、専門性と信頼性を高めます。

広告: 短期間で特定の層にアプローチし、認知度を上げたり、見込み客を獲得したり、キャンペーンを知らせたりするのに有効です。SEOと連携することで、より多くの人にアプローチできます。

ホワイトペーパー: 専門知識をまとめた資料を提供し、見込み客の悩みを深く解決する役割です。ダウンロードしてもらうことで質の高い見込み客の情報を得られ、その後の育成に役立ちます。

ウェビナー: オンラインセミナーで、専門知識を伝えたり、参加者と直接コミュニケーションをとったりします。参加者の情報や質問内容から、すぐに商談につながる可能性の高い見込み客を見つけられます。

メール: 見込み客一人ひとりに合わせた情報を送り、少しずつ関係を深め、購買意欲を高める役割です。

2-2. 各施策を「点」でなく「線」でつなぐ大切さ

一つひとつの施策がバラバラではなく、お客さんが商品を「知らない」状態から「買う」までの流れの中で、どんな役割を果たすかを明確にし、連携させることが重要です。

たとえば、次のような流れを考えられます。

SEOやコンテンツマーケティングで、お客さんに会社の存在や価値を知ってもらいます。(認知フェーズ)

興味を持ったお客さんに、専門的な知識をまとめたホワイトペーパーを提供し、見込み客の情報を獲得します。(興味・関心フェーズ)

ホワイトペーパーをダウンロードしたお客さんに、関連するウェビナーへの参加を促し、より深い情報を提供して信頼関係を築きます。(検討フェーズ)

ウェビナーに参加するなど、意欲の高いお客さんに個別相談やデモを提案し、具体的な導入を後押しします。(決定フェーズ)

導入後もメールマガジンなどで情報提供を続け、お客さんの満足度を高め、良い関係を長く続けます。(継続・ロイヤルティ向上フェーズ)

このように、各施策がお客さんの行動に沿って、段階的に情報を提供し、関係性を深めていくことで、見込み客はスムーズに購買へと進んでいきます。


3. 見込み客の育成:刈り取りから育成へ

3-1. 一度きりの施策では成果は出ない

BtoBマーケティングでは、お客さんと信頼関係を築き、長く取引してもらうことが大切です。一度きりの施策では、一時的な成果しか得られず、継続的な成長は望めません。

たとえば、広告を出してアクセスを増やしても、その後のフォローがなければ、ほとんどのお客さんはすぐに離れてしまいます。お客さんの購買意欲は、時間をかけて少しずつ育てていく必要があるのです。

3-2. 意欲の高い見込み客(ホットリード)の見つけ方と営業連携

マーケティング活動で得た見込み客には、すぐに商談に進めそうな「ホットリード」と、まだ情報収集段階の「コールドリード」がいます。ホットリードを早く見つけ、営業部門と連携して素早く対応することが、成約率を上げるための重要なポイントです。

ホットリードかどうかを見極めるには、次のような行動をチェックします。

特定のサービス紹介ページを何度も見た
資料請求や問い合わせをした
ウェビナーに参加した
メールの特定のリンクをクリックした

マーケティング部門はこれらの情報を集めて分析し、ホットリードを営業部門に知らせることで、営業活動を効率化できます。

3-3. PDCAとナーチャリング(育成)の視点を持つ

マーケティングは、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(Check)→ 改善(Action)のPDCAサイクルを回し続けることで、効果を最大化できます。施策を実行して終わりではなく、必ず効果を測り、データをもとに改善を繰り返すことが大切です。

ナーチャリング(育成)は、獲得した見込み客を段階的に購買へと導くプロセスです。見込み客の興味や検討状況に合わせて、適切な情報を適切なタイミングで提供し続けることで、信頼関係を築き、購買意欲を高めていきます。

3-4. 長く良い関係を築くことの重要性

BtoBでは、一度取引が成立したお客さんと長く関係を続けることが、安定した収入とさらなる成長につながります。リピート購入や追加提案を促進することで、LTV(顧客生涯価値)を最大化できます。

そのためには、サービスの質を上げることはもちろん、丁寧なサポートや、お客さんの声に耳を傾ける姿勢が大切です。


4. いろいろな施策を組み合わせて効果を上げる

4-1. 認知度を上げ、見込み客を作る:SEO、コンテンツ、広告

SEOは、検索経由で質の高いお客さんを呼び込み、認知度を上げるのに役立ちます。コンテンツマーケティングは、お客さんの悩みを解決する役立つ情報を発信することで、興味を引くことができます。広告は、特定のターゲット層に短期間でアプローチし、見込み客の獲得を加速させます。

これらの施策を組み合わせることで、より多くの見込み客を効率よく獲得できます。

4-2. 関係を築き、育てる:ホワイトペーパー、ウェビナー、メール

見込み客を獲得したら、次は深い関係を築き、育てる段階です。

ホワイトペーパーは、専門知識を提供して信頼性を高めます。

ウェビナーは、お客さんの理解を深め、エンゲージメントを高めます。

メールマーケティングは、獲得した見込み客に継続的に情報を送り、購買意欲を高めます。

これらの施策を組み合わせることで、見込み客との信頼関係を築き、スムーズに購買へと導くことができます。


5. 小さな会社でもできるデジタル戦略の工夫

5-1. 限られたリソースを最大限に活かす考え方

中小企業は、大きな会社のように予算や人がいません。だからこそ、限られたリソースを最大限に活用する戦略が不可欠です。

強みに集中する: 他社にはない独自の強みを明確にし、それを軸に情報発信をしましょう。

外部の力を借りる: 専門的な知識やスキルがない場合は、フリーランスや中小企業向けの支援会社など、外部の専門家に一部を依頼することも考えましょう。

無料や安価なツールを活用: 無料で使えるSEO分析ツールやメールマーケティングツールなどを積極的に活用して、効率的に進めます。

一つに集中して、徐々に広げる: 最初から多くの施策に手を出さず、最も効果が見込める施策に集中し、成果が出てから他の施策に広げていくのが現実的です。

社員全員を巻き込む: マーケティング部門だけでなく、営業や技術部門など、他の部門の社員にも協力してもらいましょう。

5-2. 社内外の協力体制を整える

デジタルマーケティングで成果を出すには、社内の関係部署との連携はもちろん、外部の協力会社ともスムーズに連携することが不可欠です。

営業部門との連携を密にする: マーケティング部門が獲得した見込み客の情報や、顧客のニーズを営業と共有し、フィードバックを戦略に反映させます。

顧客情報を共有・一元管理する: 顧客情報管理ツール(CRM)などを使い、顧客情報を一つにまとめて管理することで、お客さんを深く理解し、一人ひとりに合わせたマーケティングができます。

目標とKPIを共有する: 目標や進捗状況を社内で共有し、関係者のやる気を高め、協力体制を強化します。

外部パートナーとの役割分担を明確にする: 外部の専門家と連携する際は、それぞれの役割をはっきりさせ、定期的に連絡を取り合いましょう。


6. 成果を出すために意識すべき3つの視点

BtoBデジタルマーケティングで成果を出し続けるためには、以下の3つの視点を常に意識することが不可欠です。

お客さんを深く理解すること: どんな悩みを抱え、どんな情報を求めているか、購買の最終決定者は誰か。この深い理解が、すべての活動の土台になります。

戦略全体をしっかり設計すること: 「受注」というゴールからさかのぼって、お客さんがたどる道のりを考え、最適な施策を組み合わせます。バラバラに施策を行うのではなく、お客さんの体験全体を良くする視点が大切です。

継続的に改善すること: 市場や競合、お客さんのニーズは常に変わります。データに基づいて効果を測り、改善を繰り返すことで、常に最適なマーケティング活動を目指しましょう。


まとめ

この記事では、「受注からさかのぼって考えるBtoBウェブマーケティング戦略」について、実践的な視点から解説しました。

成功のカギは、「なぜその施策を行うのか?」という目的を持ち、最終的な「受注」というゴールから戦略を設計することです。SEO、広告、ホワイトペーパー、ウェビナー、メールマーケティングといったさまざまな施策は、それぞれがバラバラではなく、お客さんの購買プロセス全体をつなぐ線として考え、戦略的に組み合わせることで、効果を最大限に高めることができます。

特に、ホワイトペーパーは、見込み客との最初の重要な接点となり、その後の関係を築き、育てるうえで大きな影響を与えます。中小企業のようにリソースが限られた環境だからこそ、自社の強みを活かし、外部の力を借りながら、効果的な施策に集中し、着実に成果を積み重ねていくことが重要です。

そして、最も重要なことは、常にお客さんを深く理解し、しっかり設計された戦略を実行し、データに基づいて継続的に改善していくという姿勢です。この3つの視点を持ち続けることで、あなたはきっと、あなたの会社の成長に貢献できる、実践的なBtoBウェブマーケティング戦略を築けるはずです。

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