BtoBビジネスで「すぐに売れない」からこそ必要な継続接点
はじめに
BtoB(企業間取引)の世界では、「この商品、良さそうだからすぐに買おう!」となることは多くありません。
なぜなら、BtoBの購買では慎重な検討と、複数の関係者の承認が必要となることが多いからです。だからこそ、すぐに売れないことを前提に、将来のお客様とじっくり関係を築く「継続接点」が非常に大切になってきます。
この記事を読むことで、ウェブマーケティング初心者の方でも、BtoBビジネス特有の購買プロセスを理解し、小さな会社でも無理なく始められる継続的な顧客との接点づくり、そして最終的に売上につなげるための具体的な方法が分かります。
ぜひ、最後まで読んで、明日からのウェブマーケティングに活かしてみてください。
1. なぜBtoBビジネスでは「すぐに売れない」のか
BtoBビジネスで商品やサービスがすぐに売れないのには、特有の理由があります。それは、購買プロセスが長く複雑であること、そして購入の意思決定に関わる人と部門が複数にわたるという点です。これらのハードルを理解することが、効果的なマーケティング戦略を立てる第一歩となります。
1-1. BtoBならではの購買プロセスの長さと複雑さ
BtoBの購買プロセスは、一般的にBtoC(個人向け取引)に比べて非常に長い時間を要し、多くのステップを踏みます。なぜでしょうか?
高額な投資: BtoBの取引は、企業にとって重要な投資となることが多く、金額も大きくなりがちです。そのため、担当者は複数の製品やサービスを比較検討し、費用対効果を慎重に見極める必要があります。
導入の影響範囲: 新しい製品やサービスを導入することは、企業の業務プロセスや組織体制に大きな影響を与える可能性があります。そのため、導入によるリスクやメリットを多角的に評価する必要があるのです。
情報収集の多さ: 担当者は、製品・サービスの機能だけでなく、企業の信頼性、実績、サポート体制など、多岐にわたる情報を収集します。ウェブサイトの情報だけでなく、資料請求、セミナー参加、競合製品との比較検討など、様々な手段を用います。
社内稟議: 最終的な購入決定には、複数の部署や役職者の承認が必要となることが一般的です。それぞれの担当者が異なる視点から検討するため、合意形成に時間がかかることがあります。
このように、BtoBの購買プロセスは、情報収集から評価、社内調整、契約締結まで、多くの段階と時間を要するため、「すぐに売る」という考え方ではなかなか成果に結びつきません。
1-2. 決裁権者と利用者の分離というハードル
BtoBビジネスにおいては、実際に製品やサービスを利用する人と、購入の最終決定を下す人(決裁権者)が異なるケースが頻繁にあります。
利用者のニーズ: 現場の担当者は、日々の業務で直面している課題を解決できる製品やサービスを求めています。具体的な機能や使いやすさ、導入後のサポートなどを重視する傾向があります。
決裁権者の視点: 経営層や管理職といった決裁権者は、費用対効果、投資回収期間、戦略的なメリット、リスクなどを総合的に判断します。
この「利用者」と「決裁権者」のニーズや関心事が異なるため、両者に対して適切な情報を提供し、納得してもらう必要があります。単に製品の機能を紹介するだけでなく、決裁権者が重視するビジネス上のメリットや投資対効果を示すことが重要になります。また、利用者の声を取り入れることで、導入後の現場のメリットを具体的に伝えることも有効です。
BtoBビジネスで「すぐに売れない」のは、購買プロセスが長く複雑であり、さらに購入の意思決定に関わる人、部門が複数いるためです。これらの特性を理解し、短期的な成果を焦らず、顧客との長期的な関係構築を目指すマーケティング戦略が求められます。
2. 継続接点の重要性と役割とは
すぐに購入しない「未来の顧客」との関係性を構築することこそが、BtoBビジネスにおける継続接点の重要な役割です。信頼関係を構築し、受注までの道のりを着実に進むために、刈り取り型ではない、長期的な視点でのマーケティングが不可欠となります。
2-1. 今すぐ客ではなく「未来の顧客」とつながる意義
ウェブサイトに訪れた人や、展示会で名刺交換をした人すべてが「今すぐ客」とは限りません。多くの場合、彼らはまだ情報収集段階であったり、課題を認識し始めたばかりだったりする「未来の顧客」です。
潜在層へのアプローチ: 継続的に接点を持つことで、まだ具体的なニーズが顕在化していない潜在層に対しても、自社の存在や提供できる価値を認知してもらうことができます。
競合との差別化: 顧客が製品やサービスを検討する段階になったとき、継続的に情報を提供してきた企業は、そうでない企業よりも有利な立場に立てます。「いつも情報を提供してくれる親切な会社」という印象を持ってもらえれば、競合との差別化につながります。
機会損失の防止: 一度接点を持った顧客をそのまま放置してしまうと、競合他社に流れてしまう可能性があります。継続的にコミュニケーションを取ることで、顧客の検討状況を把握し、適切なタイミングでアプローチすることができます。
「すぐに売り込む」ことばかりに目を向けるのではなく、「未来の顧客」との関係性を大切に育むことが、長期的なビジネスの成長につながります。
2-2. 受注に至るまでの信頼構築と関係性の蓄積
BtoBの取引では、担当者個人の感情だけでなく、企業の信頼性や実績が非常に重要視されます。高額な投資となるほど、顧客は「この会社なら安心して任せられる」という確信を得たいと考えます。
専門知識の発信: 役立つ情報やノウハウを継続的に提供することで、「この会社は専門知識が豊富で信頼できる」という印象を与えることができます。
課題解決への貢献: 顧客の抱える課題に対して、具体的な解決策やヒントを提供することで、「私たちのことを真剣に考えてくれている」と感じてもらうことができます。
透明性の確保: 企業の考え方や実績、導入事例などを積極的に開示することで、安心感と信頼感を醸成することができます。
双方向コミュニケーション: 一方的な情報発信だけでなく、顧客からの質問や意見に真摯に対応することで、良好な関係性を築くことができます。
このように、継続的な接点を通じて、顧客との間に信頼関係を築き、良好な関係性を蓄積していくことが、最終的な受注につながる重要な要素となります。
2-3. 誤解されやすい「刈り取り型」マーケティングとの違い
「刈り取り型」マーケティングとは、広告などを活用して、今すぐに購入意欲の高い顧客に直接アプローチし、短期的な成果を求める手法です。もちろん、この手法も重要ですが、BtoBビジネスにおいては、それだけでは限界があります。
対象顧客の違い: 刈り取り型は「今すぐ客」を対象とするのに対し、継続接点は「未来の顧客」を含む幅広い層を対象とします。
目的の違い: 刈り取り型は「短期的な売上向上」を主な目的とするのに対し、継続接点は「長期的な信頼関係の構築と育成」を目的とします。
アプローチの違い: 刈り取り型は直接的な販売促進が中心となるのに対し、継続接点は価値ある情報提供やコミュニケーションを通じて、顧客とのエンゲージメントを高めます。
BtoBビジネスにおいては、刈り取り型のマーケティングと並行して、未来の顧客との関係性をじっくりと育む継続接点の取り組みが不可欠です。両者をバランス良く組み合わせることで、より効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
継続接点は、今すぐ購入しない「未来の顧客」とつながり、信頼関係を構築し、長期的な視点で受注を目指すための重要な取り組みです。短期的な成果を求める「刈り取り型」マーケティングとは異なり、顧客とのエンゲージメントを高めることを重視します。
3. 小さな会社でもできる!継続接点のつくり方
継続接点の重要性は理解できても、「うちのような小さな会社には難しいのでは?」と感じるかもしれません。しかし、心配はいりません。メルマガやブログといった身近なツールを活用し、ちょっとした工夫を凝らすだけでも、効果的な継続接点を築くことができます。
3-1. メルマガ・ニュースレターで“忘れられない”工夫
メルマガやニュースレターは、顧客との継続的な接点を保つための非常に有効なツールです。定期的に情報を届けることで、顧客の記憶に残り、関係性を維持することができます。
ターゲットに合わせた情報: 顧客の業種、役職、興味関心に合わせて、本当に役立つ情報を提供しましょう。製品情報だけでなく、業界の動向、課題解決のヒント、成功事例などを盛り込むと、読者のエンゲージメントが高まります。
人間味あふれる内容: きちっとした製品紹介だけでなく、担当者の顔が見えるようなパーソナルな情報を加えることで、親近感が湧き、より人間的なつながりを築くことができます。例えば、最近の業界ニュースに対する担当者の個人的な意見や、顧客への感謝のメッセージなどを添えるのも良いでしょう。
定期的な配信: 配信頻度は重要です。月に一度でも良いので、定期的に配信することで、顧客の記憶から忘れ去られるのを防ぎます。「毎月〇日に届く」という習慣を作ることが大切です。
開封率・クリック率の分析と改善: 送信したメルマガの開封率やクリック率を分析し、どのような情報が顧客に響いているのかを把握しましょう。分析結果をもとに、内容や配信タイミングを改善していくことで、より効果的なメルマガへと進化させることができます。
3-2. 月1ブログ更新でも効く「接触頻度の最適化」
「毎日ブログを更新しなければならない」と思っていませんか?必ずしもそうではありません。確かにたくさんコンテンツがあった方がいつでも何でも教えてくれる感があって、いいですよね。
でも、リソースが限られた小さな会社では、質の高いコンテンツを無理なく継続できる頻度で発信することが重要です。自社のペースで増やして行けばいいのです。
ターゲット顧客の課題解決: ブログ記事は、自社の専門知識を活かし、ターゲット顧客が抱える課題や疑問に答える内容にしましょう。「〇〇の課題を解決する3つの方法」「△△の選び方」といった、具体的なノウハウや解決策を示す記事は、顧客にとって価値が高く、興味を持ってもらいやすいです。
SEO対策を意識: 作成したブログ記事が検索エンジンの上位に表示されるように、キーワードを意識したタイトルや見出し、本文を作成しましょう。SEO対策を行うことで、潜在顧客からのアクセスを増やすことができます。
SNSでの拡散: ブログ記事を公開したら、積極的にSNSでシェアしましょう。自社のSNSアカウントだけでなく、従業員の個人アカウントからのシェアも有効です。
過去記事の再活用: 過去に作成したブログ記事も、定期的に見直し、最新の情報にアップデートしたり、別の切り口で再編集したりすることで、コンテンツを有効活用できます。
重要なのは、頻度よりも「顧客にとって価値のある情報」を「継続的に」提供することです。月1回の質の高いブログ更新でも、着実に顧客との接点を築き、信頼関係を深めることができます。
小さな会社でも、メルマガやブログといったツールを活用し、ターゲット顧客に合わせた価値ある情報を定期的に発信することで、効果的な継続接点を築くことができます。無理のない範囲で、質の高い情報発信を継続することが重要です。
4. 顧客との継続的な接点を築くための具体的な施策:基礎編
ここからは、顧客との継続的な接点を築くための具体的な施策について解説していきます。まずは基礎編として、コンテンツマーケティング、メールマーケティング、SNS活用という3つの重要な柱について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
4-1. コンテンツマーケティング:顧客の課題解決に役立つ情報発信
コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のある情報(コンテンツ)を制作・発信することで、顧客の興味を引きつけ、信頼関係を構築し、最終的に購買行動につなげるマーケティング手法です。押し売りではなく、顧客の課題解決に役立つ情報を提供することで、自然と自社への関心を高めることができます。
4-1-1. ブログ記事:専門知識やノウハウを分かりやすく解説
ブログ記事は、自社の専門知識やノウハウを分かりやすく解説することで、顧客の疑問を解消し、信頼感を獲得するための有効な手段です。
ターゲット顧客の課題に焦点を当てる: 顧客がどのような課題を抱えているのかを具体的に想像し、その解決に役立つ情報を提供しましょう。「〇〇のコストを削減する方法」「△△の導入で失敗しないための注意点」など、具体的なテーマを設定することが重要です。
専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明する: ウェブマーケティング初心者の方にも理解できるように、専門用語はできる限り避け、普段使いの言葉で丁寧に解説しましょう。例え話や具体例を交えるのも効果的です。
読みやすい構成を心がける: 長い文章は読みにくいため、適切な見出しや段落分け、箇条書きなどを活用し、視覚的に分かりやすい記事を作成しましょう。
定期的な更新: コンテンツは鮮度が重要です。定期的に新しい記事を公開することで、ウェブサイトへの訪問を促し、顧客との接点を維持することができます。
顧客の課題解決に役立つ情報を、分かりやすく丁寧に解説するブログ記事を定期的に発信することで、顧客からの信頼を獲得し、長期的な関係構築につながります。
4-1-2. ホワイトペーパー/資料請求:より専門的で深い情報提供
ホワイトペーパーや資料請求は、ブログ記事よりも専門的で深い情報を提供することで、より関心の高い顧客のリード(見込み顧客)を獲得するための重要なツールです。
特定のテーマに特化する: ホワイトペーパーは、特定の課題やテーマについて、より詳細な情報や分析、具体的な解決策などをまとめたものです。ブログ記事では語りきれない深い内容を提供することで、顧客の理解を深めます。
ダウンロード形式で提供する: ウェブサイト上でフォームを入力してもらうことで、ホワイトペーパーや資料をダウンロードできるようにします。これにより、見込み顧客の情報を取得し、その後のフォローアップに繋げることができます。
魅力的なタイトルと概要: 顧客が「読んでみたい」と思うような魅力的なタイトルと、内容が分かりやすく伝わる概要を作成することが重要です。
質の高いコンテンツ: 専門家としての知識やノウハウを惜しみなく盛り込み、顧客にとって本当に価値のある情報を提供しましょう。
特定のテーマに特化した専門的で深い情報を提供するホワイトペーパーや資料請求は、関心度の高い見込み顧客を獲得し、より深い関係性を築くための有効な手段です。
4-1-3. 事例紹介:導入効果や活用方法を具体的にイメージさせる
事例紹介は、実際に自社の製品やサービスを導入した顧客の成功事例を紹介することで、見込み顧客に具体的な導入効果や活用方法をイメージさせ、購買意欲を高める効果があります。
具体的な成果を数値で示す: 可能な限り、導入前後の具体的な数値の変化を示すことで、効果を客観的に伝えることができます。「〇〇のコストを△△%削減」「売上が□□%向上」といったデータは、見込み顧客にとって非常に説得力があります。
顧客の課題と導入の背景を明確にする: どのような課題を抱えていた顧客が、なぜ自社の製品やサービスを選んだのか、その背景を詳しく説明することで、見込み顧客は自分自身の状況と照らし合わせやすくなります。
導入プロセスや活用方法を具体的に解説する: 製品やサービスの導入がどのように進められたのか、導入後どのように活用されているのかを具体的に説明することで、見込み顧客は導入後のイメージを持つことができます。
顧客の声(インタビューやコメント)を掲載する: 実際に製品やサービスを利用した顧客の生の声は、見込み顧客にとって最も信頼できる情報源の一つです。
実際の顧客の成功事例を具体的な数値やエピソードを交えて紹介することで、見込み顧客に導入後のメリットを具体的にイメージさせ、購買意欲を高めることができます。
4-2. メールマーケティング:段階的な情報提供と関係維持
メールマーケティングは、顧客に対してメールを通じて情報を提供し、関係性を維持・強化していくためのマーケティング手法です。ターゲット顧客に合わせてパーソナライズされた情報を提供することで、より効果的なコミュニケーションを図ることができます。
4-2-1. ステップメール:顧客の興味段階に合わせた情報配信
ステップメールは、顧客の行動や属性に合わせて、事前に作成した何個かのメールを自動的に、計画的に配信する仕組みです。顧客の興味段階に合わせて段階的に情報を提供することで、購買意欲を高めていきます。
登録後のウェルカムメール: 資料請求や会員登録をした顧客に対して、まずは歓迎のメッセージと、提供するコンテンツの概要などを伝えるメールを配信します。
製品・サービスの紹介: 顧客の興味関心に合わせて、製品やサービスの詳細な情報や導入事例などを段階的に配信します。
課題解決に役立つ情報: 顧客が抱える可能性のある課題に対する解決策やヒントとなる情報を提供し、信頼関係を構築します。
限定特典やキャンペーン: 特定のステップに到達した顧客に対して、限定的な特典やキャンペーン情報を提供することで、購買意欲を刺激します。
顧客データの活用: 顧客の属性情報や過去の行動履歴などを活用し、配信する情報をパーソナライズすることで、より高い効果が期待できます。
顧客の行動や属性に合わせて、段階的に関連性の高い情報を提供するステップメールは、顧客の購買意欲を高め、成約につなげるための有効な手法です。
4-2-2. メルマガ:最新情報や役立つコンテンツの定期的な提供
メルマガは、最新の製品情報、業界ニュース、役立つノウハウ、イベント告知などを定期的に配信することで、顧客との継続的な接点を維持し、関係性を強化するための重要なツールです。
価値ある情報の提供: 単なる製品紹介だけでなく、顧客にとって役立つ情報や興味深いコンテンツを提供することを心がけましょう。ブログ記事の紹介、業界のトレンド解説、事例紹介、セミナー情報などが考えられます。
定期的な配信頻度: 配信頻度は、多すぎても少なすぎても効果が薄れます。ターゲット顧客のニーズや情報収集の頻度を考慮し、適切な頻度を設定しましょう(週1回、隔週など)。
魅力的な件名: 多くのメールの中で開封してもらうためには、件名が非常に重要です。顧客の興味を引くような、具体的で分かりやすい件名を心がけましょう。
モバイルフレンドリー: スマートフォンでメールをチェックする人が多いため、モバイル端末でも見やすいように、レスポンシブデザインを採用するなど、表示形式に配慮しましょう。
定期的に価値ある情報を提供するメルマガは、顧客との継続的な接点を維持し、関係性を強化するための基本的ながらも非常に重要な施策です。
4-2-3. 個別メール:パーソナライズされた情報提供とコミュニケーション
個別メールは、特定の顧客に対して、そのニーズや状況に合わせてパーソナライズされた情報を提供したり、直接的なコミュニケーションを取ることで、より深い関係性を構築するための手法です。
問い合わせへの迅速かつ丁寧な対応: 顧客からの問い合わせに対して、迅速かつ丁寧に回答することは、信頼関係を築く上で非常に重要です。
フォローアップ: 資料請求や問い合わせがあった顧客に対して、一定期間後にフォローアップのメールを送ることで、顧客の検討状況を確認し、次のステップを促します。
個別提案: 顧客の具体的な課題や要望をヒアリングした上で、その顧客に最適な製品やサービスを個別に提案します。
顧客の声への感謝: 製品やサービスに関するフィードバックや意見をくれた顧客に対して、感謝の気持ちを伝えることで、良好な関係を維持します。
顧客一人ひとりのニーズや状況に合わせた個別メールによるコミュニケーションは、より深い信頼関係を構築し、成約率の向上に貢献します。
4-3. SNS活用:企業ブランドの認知向上と親近感の醸成
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、企業ブランドの認知度向上、顧客とのコミュニケーション、親近感の醸成に役立つ強力なツールです。
4-3-1. ターゲット層に合わせたプラットフォーム選定
多くのSNSプラットフォームが存在しますが、それぞれのユーザー層や特性が異なります。自社のターゲット顧客が利用しているプラットフォームを選ぶことが、効果的なSNS活用の第一歩です。
Facebook: 幅広い層にリーチできるため、企業ブランドの認知度向上や親近感の醸成に役立ちます。
YouTube: 製品デモ動画や事例紹介、ウェビナーのアーカイブなどを公開することで、視覚的に情報を伝えることができます。
Instagram: 視覚的なコンテンツが中心となるため、製品のデザイン性や企業のカルチャーなどをアピールするのに適しています。
X(旧Twitter): リアルタイムな情報発信や業界ニュースの共有、顧客との双方向のコミュニケーションに適しています。
LinkedIn: BtoBビジネスにおいては、ビジネスパーソンが多く利用するLinkedInは、企業アカウントの開設や情報発信、業界の専門家とのつながり構築に有効です。
自社のターゲット顧客が最も利用しているSNSプラットフォームを選び、そこに注力することで、効率的にリーチし、エンゲージメントを高めることができます。
4-3-2. 専門知識の発信と双方向コミュニケーション
SNSでは、自社の専門知識やノウハウを分かりやすく発信することで、フォロワーの役に立ち、専門家としての信頼を獲得することができます。また、積極的にコメントやDMに返信することで、双方向のコミュニケーションを促進し、親近感を高めることができます。
役立つ情報のシェア: 自社のブログ記事やホワイトペーパーの紹介だけでなく、業界の最新ニュースや役立つツール、ノウハウなどを積極的にシェアしましょう。
質問への回答: フォロワーからの質問やコメントには、丁寧に回答することを心がけましょう。真摯な対応は、信頼感につながります。
意見交換: 業界のトレンドや課題について意見を発信したり、フォロワーに質問を投げかけたりすることで、 双方向のコミュニケーションを促します。
ライブ配信やQ&Aセッション: リアルタイムでの情報発信や質疑応答は、フォロワーとのエンゲージメントを高める効果的な手段です。
専門的な知識を発信し、フォロワーとの双方向コミュニケーションを積極的に行うことで、信頼関係を構築し、企業ブランドへの親近感を高めることができます。
4-3-3. 従業員の顔が見える情報発信で人間味をプラス
企業の公式アカウントだけでなく、従業員が個人のアカウントから情報発信することで、企業に人間味をプラスし、親近感や信頼感を高めることができます。
従業員による専門知識の発信: 各部門の担当者が、それぞれの専門分野に関する知識やノウハウを発信することで、企業全体の専門性をアピールできます。
日々の業務の裏側を紹介: 製品開発の様子やイベントの準備風景など、普段は見えない企業の裏側を紹介することで、親近感や共感を呼び起こします。
従業員のパーソナルな一面を紹介: 趣味や興味関心など、従業員のパーソナルな一面を簡単に紹介することで、より人間的なつながりを築くことができます。
発言には責任を持つ: 従業員による情報発信は、企業のイメージに影響を与える可能性があるため、発言内容には十分注意する必要があります。事前にガイドラインを設けるなどの対策を講じましょう。
従業員一人ひとりの個性や顔が見える情報発信は、企業に人間味を与え、顧客との感情的なつながりを強化し、信頼感を高める効果があります。
顧客との継続的な接点を築くための基礎として、顧客の課題解決に役立つ情報発信を行うコンテンツマーケティング、段階的な情報提供と関係維持に役立つメールマーケティング、そして企業ブランドの認知向上と親近感の醸成に貢献するSNS活用は、どれも重要な施策です。それぞれの特性を理解し、自社の状況に合わせて効果的に取り入れていきましょう。
5. 顧客との継続的な接点を築くための具体的な施策:応用編
基礎編では、コンテンツ、メール、SNSという3つの柱をご紹介しました。応用編では、さらに顧客とのエンゲージメントを高め、より深い関係性を築くための施策として、ウェビナー/オンラインイベント、顧客管理(CRM)ツールの活用、そしてターゲット企業への個別アプローチであるアカウントベースドマーケティング(ABM)について解説します。
5-1. ウェビナー/オンラインイベント:インタラクティブな情報提供とエンゲージメント向上
ウェビナーやオンラインイベントは、場所や時間の制約を受けずに、多くの顧客に対してインタラクティブな情報提供を行い、深いエンゲージメントを築くための強力なツールです。
専門家による講演やパネルディスカッション: 業界の専門家や自社の専門家を招き、顧客にとって価値のある情報を提供することで、専門性と信頼性をアピールできます。パネルディスカッション形式にすることで、多角的な視点を提供し、参加者の興味を引きつけやすくなります。
質疑応答による顧客の疑問解消と信頼感醸成: 参加者からの質問にリアルタイムで答える機会を設けることで、顧客の疑問を直接解消し、理解を深めることができます。また、真摯な対応は、顧客からの信頼感につながります。
参加者限定コンテンツや特典の提供: ウェビナーやオンラインイベントの参加者限定の資料や特典を提供することで、参加意欲を高め、特別感を演出することができます。
アンケートによるフィードバック収集: 参加者に対してアンケートを実施することで、コンテンツの評価や今後のニーズを把握し、改善に役立てることができます。
アーカイブ配信によるリーチ拡大: リアルタイムで参加できなかった顧客のために、ウェビナーの録画を後日配信することで、より多くの見込み顧客にリーチできます。
ウェビナーやオンラインイベントは、インタラクティブな情報提供を通じて顧客エンゲージメントを高め、深い関係性を構築するための有効な手段です。専門的な知識やリアルタイムなコミュニケーションは、顧客の信頼獲得につながります。
5-2. 顧客管理(CRM)ツールの活用:顧客情報の集約と効果的なアプローチ
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ツールは、顧客に関するあらゆる情報を一元的に管理し、分析することで、よりパーソナライズされた効果的なマーケティング活動や営業活動を支援するツールです。
顧客データの分析によるニーズの把握: CRMツールに蓄積された顧客の属性情報、購買履歴、ウェブサイトの行動履歴、問い合わせ履歴などを分析することで、顧客のニーズや興味関心を深く理解することができます。
セグメント配信によるパーソナライズされた情報提供: 分析結果に基づき、顧客を特定の属性や行動でセグメント分けし、それぞれのセグメントに最適化された情報(メール、コンテンツなど)を配信することで、エンゲージメントを高めることができます。
営業部門との連携強化による成約率向上: マーケティング部門が収集・分析した顧客情報を営業部門と共有することで、営業担当者はより顧客のニーズに合致した提案を行うことができ、成約率の向上につながります。
マーケティング効果の測定と改善: CRMツールを活用することで、各マーケティング施策の効果(リーチ数、エンゲージメント率、コンバージョン率など)を測定し、データに基づいた改善を行うことができます。
CRMツールを活用することで、顧客情報を一元管理し、分析に基づいたパーソナライズされたアプローチが可能になり、顧客との関係強化と成約率向上に貢献します。マーケティングと営業の連携を強化する上でも重要な役割を果たします。
5-3. ターゲット企業への個別アプローチ:アカウントベースドマーケティング(ABM)
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、売上貢献度の高い特定のターゲット企業を個別の「市場」と捉え、その企業に合わせて最適化されたマーケティングと営業活動を展開する戦略です。
重要顧客の特定と深い理解: まず、自社にとって最も重要なターゲット企業を特定します。そして、その企業の組織体制、ビジネス目標、課題、購買プロセス、キーパーソンなどを徹底的に調査し、深く理解します。
複数部署への連携と個別最適化された情報提供: 特定したターゲット企業の複数の部署や担当者に対して、それぞれのニーズや関心に合わせた情報提供を行います。ウェブサイトのコンテンツ、メール、イベント招待など、あらゆるタッチポイントを最適化します。
営業部門との密な連携による成約への道筋: マーケティング部門と営業部門が緊密に連携し、ターゲット企業に対するアプローチ戦略を共同で策定・実行します。マーケティング活動で得られた情報を営業活動に活かし、成約までの道のりをサポートします。
長期的な関係構築: ABMは、短期的な売上だけでなく、ターゲット企業との長期的なパートナーシップ構築を目指します。そのため、成約後も継続的なコミュニケーションと価値提供が重要になります。
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、重要なターゲット企業を深く理解し、個別最適化されたマーケティングと営業活動を展開することで、より確実な成約と長期的な関係構築を目指す戦略です。マーケティングと営業の連携が成功の鍵となります。
応用編では、顧客とのエンゲージメントを深めるウェビナー/オンラインイベント、顧客情報を活用した効率的なアプローチを実現するCRM、そして重要顧客に特化した個別戦略であるABMをご紹介しました。これらの施策は、より高度な取り組みとなりますが、顧客との関係性をさらに強化し、ビジネスの成長を加速させるための強力な武器となります。
6. 継続接点を営業につなげるために
継続的な接点づくりは、最終的に売上につなげることを目指すものです。そのためには、顧客の興味が高まったタイミングを逃さずに営業に引き渡す仕組みと、マーケティングと営業が連携して顧客育成に取り組む姿勢が不可欠です。
6-1. タイミングを逃さない「スコアリング」とは?
スコアリングとは、顧客のウェブサイト上での行動履歴(資料請求、特定ページの閲覧など)や、メールマガジンへの反応などを点数化し、顧客の興味関心度合いを可視化する仕組みです。
興味関心度の高い顧客を特定: スコアが高い顧客は、製品やサービスに対する関心が高いと判断できます。このような顧客を営業部門に素早くフィードバックすることで、最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。
営業効率の向上: スコアリングによって、見込み度の低い顧客に無駄な時間を費やすことを避け、成約可能性の高い顧客にピンポイントで対応できるため、営業効率が向上します。
マーケティングと営業の連携強化: マーケティング部門が育成した顧客の興味関心度合いをスコアとして営業部門に伝えることで、両部門間の連携がスムーズになります。営業担当者は、スコア情報を参考に、顧客に合わせた効果的なアプローチを計画ことができます。
スコア設計のポイント: どのような行動にどれくらいの点数をつけるかは、自社のビジネスモデルや顧客の購買プロセスに合わせて設計する必要があります。資料請求、ウェビナー参加、特定ページの複数回閲覧など、購買意欲が高いと考えられる行動に高いスコアを設定するのが一般的です。
スコアリングを活用することで、顧客の興味関心度合いを客観的に把握し、最適なタイミングで営業に引き渡すことが可能になり、成約率の向上と営業効率の改善につながります。
6-2. 営業とマーケティングが連携するための最低限の仕組み
継続接点の取り組みを売上につなげるためには、マーケティング部門と営業部門が 別々に活動するのではなく、共通の目標を持ち、連携して顧客育成に取り組むことが不可欠です。
共通の目標設定: マーケティング部門と営業部門が、売上目標や獲得目標顧客数など、共通の目標を共有することで、それぞれの活動が同じ方向に向かうようになります。
定期的な情報共有: マーケティング部門は、どのような顧客情報を獲得し、どのような育成施策を実施しているのかを営業部門に共有します。一方、営業部門は、顧客との実際のやり取りの中で得られたニーズや課題などの情報をマーケティング部門にフィードバックします。
顧客情報の共有基盤: CRMツールなどを活用し、両部門が顧客情報を共有できる基盤を整備することで、顧客対応の品質と効率を高めることができます。
合同での戦略会議: 定期的にマーケティング部門と営業部門が合同で会議を行い、顧客戦略やアプローチ方法について協議することで、連携を強化することができます。
役割分担の明確化: 顧客の育成プロセスにおいて、各部門がどの段階でどのような役割を担うのかを明確にしておくことで、責任の所在が明確になり、スムーズな連携につながります。
マーケティング部門と営業部門が共通の目標を持ち、定期的な情報共有、顧客情報の共有基盤の整備、合同での戦略会議などを通じて連携することで、継続的な接点の取り組みが売上という成果に結びつく可能性が高まります。
継続的に築いてきた顧客との接点を最終的な売上につなげるためには、顧客の興味が高まったタイミングを逃さないスコアリングの仕組みと、マーケティングと営業が別に活動するのではなく、共通目標を持って連携する体制が不可欠です。
7. 継続接点を成功させるための心構え
継続接点の取り組みを成功させるためには、「すぐに売る」という短期的な視点ではなく、「関係を築く」という長期的な視点を持つことが何よりも重要です。また、リソースが限られた小さな会社でも、無理のない範囲で継続できる運用設計を心がけることが大切です。
7-1. “売る”のではなく“関係を築く”という発想へ
継続接点のゴールは、「売ること」をはじめに考えるのではなく、「顧客との良好な関係を築くこと」にあります。信頼関係があってこそ、最終的な購買につながるのです。
顧客視点の徹底: 常に「顧客にとって何が有益か」「顧客は何を求めているのか」という視点で情報発信やコミュニケーションを行うことが重要です。一方的な製品紹介ではなく、顧客の課題解決に役立つ情報提供を心がけましょう。
長期的な視点: 関係構築には時間がかかります。短期的な成果を焦らず、じっくりと顧客との信頼関係を育んでいくという長期的な視点を持つことが大切です。
誠実な対応: 顧客からの問い合わせや意見に対して、誠実かつ丁寧に対応することで、信頼感を高めることができます。
価値提供への意識: 顧客にとって価値のある情報や体験を提供し続けることで、「この会社と付き合っていて良かった」と思ってもらえるような関係性を築きましょう。
継続接点を成功させるためには、短期的な売上目標にとらわれず、顧客との長期的な信頼関係を築くという意識を持つことが最も重要です。
7-2. リソースが少なくてもできる、無理のない運用設計
小さな会社やひとりマーケターの場合、多くのリソースを割くことは難しいかもしれません。重要なのは、最初から完璧を目指すのではなく、無理のない範囲で始め、徐々に改善していくという考え方です。
スモールスタート: 最初から多くの施策に手を出すのではなく、まずはメルマガやブログなど、自社で取り組みやすいものから着手しましょう。
ツールの活用: 無料または低コストで利用できるウェブマーケティングツールを活用することで、効率的に施策を実行できます。
アウトソーシングの検討: 専門的な知識やスキルが必要な領域については、部分的にアウトソーシングすることも有効な手段です。
ルーティン化: コンテンツ作成やメール配信などの作業は、可能な限りルーティン化することで、継続しやすくなります。
効果測定と改善: 実施した施策の効果を定期的に測定し、効果が出ていないものは見直し、改善を繰り返していくことが重要です。完璧な施策は存在しないため、常に改善の意識を持ちましょう。
リソースが限られた状況でも、無理のない範囲で始められる運用設計を心がけ、効果測定と改善を繰り返しながら、着実に継続接点の取り組みを進めていくことが成功への鍵となります。
まとめ
BtoBビジネスにおいて、「すぐに売れない」状況だからこそ、将来の顧客との関係をじっくりと育む「継続接点」が不可欠です。
この記事では、その重要性から、小さな会社でもできる具体的な施策、そして営業につなげるための考え方、成功のための心構えまでを解説してきました。
デジタルマーケティング初心者の方にとっては、多くの情報があったかもしれませんが、焦る必要はありません。まずは、この記事で紹介した基礎的な施策の中から、自社で無理なく始められるものを選び、少しずつ実践してみてください。
大切なのは、「売る」のではなく「関係を築く」という長期的な視点を持つこと、そして、リソースが限られた中でも継続できる運用設計を心がけることです。根気強く顧客との接点を持ち続けることで、必ず未来のビジネスチャンスにつながるはずです。ぜひ、今日から一歩を踏み出してみてください。
