BtoB企業のウェブサイトを単なる「総合カタログ」から脱却させる考え方
はじめに
「上司からウェブサイトで集客しろって言われたけど、何から手をつけていいかわからない…」
「日々の業務に追われて、ウェブサイトの更新なんて全然できていない…」
中小企業でウェブ担当を任されたばかりの方、一人でマーケティングも担当している方、こんな悩みを抱えていませんか?
この記事では、そんなあなたに向けて、多くのBtoB企業のウェブサイトが陥りがちな落とし穴、「総合カタログ化」から抜け出すための考え方を解説します。
製品の情報をただ並べるだけのウェブサイトから卒業し、見込み客との信頼関係を築き、最終的に受注に繋がる「頼れる営業マン」のようなウェブサイトにするためのヒントをお伝えします。
この記事を読めば、あなたの会社のウェブサイトが抱える課題の本質がわかり、明日から取り組むべき具体的な一歩が見えてくるはずです。
1. なぜBtoBサイトは「総合カタログ」になってしまうのか?
あなたの会社のウェブサイトは、まるで製品のリストやパンフレットのようにはなっていませんか?なぜ、多くのBtoBサイトが「総合カタログ」のようになってしまうのか、その理由を深く掘り下げてみましょう。
1-1. 顧客の気持ちになっていないから
多くの企業は、自分たちのすごい技術や製品の性能をアピールすることに一生懸命です。
しかし、お客さんが本当に知りたいのは「この製品がどんな問題を解決してくれるのか」「自分たちの仕事がどう楽になるのか」といった、自分にとってのメリットです。
一方的に「うちの製品はすごいですよ!」と語るだけでは、お客さんの心には響きません。ただ「見られる」だけで終わってしまい、「選ばれる」存在にはなれないのです。
1-2. 情報が多すぎて、必要な情報が埋もれてしまうから
総合カタログのようなウェブサイトは、まるで百科事典のようにあらゆる情報を載せようとします。その結果、本当に大切な情報が、どうでもいい情報の中に埋もれてしまいます。
お客さんは忙しいので、自分の悩みを解決してくれる情報を、早く効率的に探しています。情報が多すぎると、お客さんはうんざりしてしまい、「もういいや」とウェブサイトを閉じてしまいます。これではせっかくのビジネスチャンスを逃してしまいます。
1-3. 中小企業ならではの課題があるから
中小企業では、ウェブサイトを担当する人が少なかったり、他の業務と兼任していることがほとんどです。
ウェブサイトの戦略をじっくり考える時間がないため、「とりあえず製品情報を載せておこう」という対応になりがちです。更新も滞りがちになり、新しい情報も増えず、結果としてカタログのようなウェブサイトから抜け出せなくなってしまいます。
1-4. お客さんの「買い方」を無視しているから
BtoBの商談は、お客さんが「何か困っているな…」と感じるところから始まり、「どんな解決策があるだろう?」「どの会社に頼もうか?」と時間をかけて検討し、最終的に契約するという、長い道のりを経て進んでいきます。
総合カタログ型のサイトは、この長い道のりのうち、「製品の情報」という1つの点しか提供できていません。お客さんの悩みや不安に寄り添うことができず、最終的な成約まで導くことが難しいのです。
2. 「見込み客の課題解決」を起点に考えよう
ウェブサイトをただのカタログから卒業させ、会社の成長エンジンにするには、考え方をガラッと変える必要があります。それが「見込み客の課題解決」を一番に考えるという視点です。
2-1. 顧客視点に立つことで見えてくる新しい価値
お客さんの課題を解決することを第一に考えると、あなたの会社の製品やサービスが、お客さんにとってどれだけ価値があるのかを改めて深く考えることができます。
単なる製品の説明ではなく、「この製品を使えば、あなたの会社の業務が〇〇%効率化できますよ」「こういう事例では〇〇円のコスト削減に繋がりました」といった、お客さんが具体的に得られるメリットを伝えることが重要です。
2-2. 営業さんを助けるツールにする
これまでのBtoBビジネスは、営業さんが一軒一軒お客さんを訪ねて話を進める、「営業主導」が中心でした。
しかし、ウェブサイトを「お客さんの課題を解決する情報の発信基地」にすれば、お客さんが自分で情報を集めて、自分から「この会社に相談したい」と思うようになります。
そうなれば、営業さんはすでに興味を持っているお客さんに対応できるようになり、より効率的に商談を進めることができるようになります。
3. 「総合カタログ」からの脱却!「コンテンツマーケティング」の役割
「見込み客の課題解決」をウェブサイトで実現するために欠かせないのが、「コンテンツマーケティング」という考え方です。
3-1. コンテンツマーケティングって何?
コンテンツマーケティングとは、お客さんが抱える悩みや知りたいことに対して、役立つ情報をブログ記事や事例紹介、お役立ち資料などで継続的に提供するマーケティング手法です。
大切なのは、単なる製品紹介ではなく、お客さんの業界の動向や、業務改善のコツ、専門家によるコラムなど、お客さんの仕事や意思決定に役立つ価値のある情報を発信することです。
3-2. カタログとの違いは「情報の深さ」と「目的」
一般的な製品カタログは、製品の型番や値段、性能といった表面的な情報を伝えることが目的です。
一方、コンテンツマーケティングで発信する情報は、お客さんの悩みの根本的な原因を探り、具体的な解決策や導入後の成功事例までを深く掘り下げて提供します。その目的も、単に製品を売ることではなく、お客さんとの間に長期的な信頼関係を築き、「困ったときに頼りになるパートナー」としての地位を確立することにあります。
3-3. お客さんを「育てる」という新しい視点
コンテンツマーケティングは、お客さんの「購買プロセス」に合わせて情報を提供し、少しずつ関係を深めていく「見込み客育成(リードナーチャリング)」という考え方をもたらします。
まだ自社のことを知らない潜在的なお客さんには、まず興味を持ってもらうための情報を。そして、製品を検討し始めたお客さんには、より詳しい情報を。このように、お客さんが必要な情報を、必要なタイミングで提供することで、お客さんからの信頼感を育てていくことができるのです。
4. ウェブサイトを「動く営業マン」にするための基本原則
ウェブサイトをただの情報の置き場ではなく、具体的な成果を生み出す「動く営業マン」として活用するために、いくつかの大切なポイントを覚えておきましょう。
4-1. 誰に、何を、どうやって届けたいかを明確にする
まずは、「うちの製品を一番必要としているのはどんな人か?」を具体的に考えてみましょう。どんな仕事をしていて、どんな悩みを抱えているのか、情報をどうやって集めているのか、などを詳しく書き出してみるのがおすすめです。
ターゲット(お客さん)の顔がはっきりすることで、「この人たちに何を伝えれば響くか」が明確になります。
4-2. お客さんの購買プロセスを理解する
お客さんは、次の段階を経て製品を選びます。
課題の認識: 「何か困ったことが起きたな…」
情報収集: 「解決策はないかな?」
比較検討: 「A社とB社、どっちが良いかな?」
最終決定: 「よし、B社にしよう!」
ウェブサイトは、この各段階でのお客さんの疑問や不安を解消する役割を担います。それぞれの段階で、どんな情報を提供し、どんな行動を促したいかを戦略的に設計することが重要です。
5. コンテンツマーケティングの基本戦略
ここでは、より具体的にコンテンツマーケティングを実践するための考え方をお伝えします。
5-1. 「まずは問い合わせ!」と考えない
コンテンツマーケティングのゴールは、すぐに問い合わせをもらうことではありません。お客さんとの間に信頼関係を築くことが一番の目的です。
質の高い情報をじっくり提供して、お客さんが「この会社なら信頼できる」と感じてくれた結果、自然と問い合わせに繋がるような導線をつくりましょう。資料請求や問い合わせは、信頼関係を築いた後の「結果」だと考えてください。
5-2. 役割分担を明確にする
ウェブサイトのコンテンツには、それぞれ役割があります。
ブログ記事: まだ自社のことを知らないお客さん(潜在層)に、課題解決のヒントや専門知識を提供して、興味を持ってもらう役割。
お役立ち資料(ホワイトペーパー): 業界の動向や、より深い解決策を提示し、お客さんの理解を深める役割。
導入事例: 実際に製品を導入したお客さんの成功事例を紹介し、お客さんの背中を押す役割。
このように、それぞれのコンテンツが次の段階へ進むための橋渡しになるように設計しましょう。
6. 組織全体で取り組むことの重要性
ウェブサイトを「総合カタログ」から脱却させるには、部署の壁を越えた連携と、会社全体の意識改革が必要です。
6-1. トップと現場の気持ちを一つにする
ウェブサイトを会社の重要な収益源として育てるには、経営層がウェブサイトを「単なるコスト」ではなく「未来への投資」と考えることが不可欠です。
ウェブサイトの成果(アクセス数や問い合わせ数など)を定期的に経営層に報告し、ウェブサイトがどれだけ会社に貢献しているかを伝える努力をしましょう。
同時に、営業さんやカスタマーサポートの担当者から、お客さんの生の声をウェブ担当者が積極的に聞き出す仕組みをつくることも大切です。
6-2. 部署の壁をなくして情報を共有する
効果的なコンテンツをつくるには、マーケティング担当者だけでなく、営業、開発、カスタマーサポートなど、お客さんと接するすべての部署との連携が必要です。
営業さん: お客さんの生の声、どんな質問が多いか
開発担当者: 製品の技術的な強みや特徴
カスタマーサポート: お客さんからよくある質問、導入後の課題
これらの貴重な情報を共有して、みんなで協力してコンテンツをつくりましょう。部署を横断した情報共有こそが、質の高いコンテンツを生み出す鍵になります。
7. 中小企業でもできる「一歩ずつ」の進め方
「うちはリソースがないから…」と諦める必要はありません。最初から完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ始めて、ウェブサイトを育てていきましょう。
7-1. まずは「なんのために書くか」を明確にする
これからつくるコンテンツが、「誰のために」「何のために」「読んだ人にどうなってほしいか」をはっきりさせましょう。
たとえば、「製品の事例記事」なら、「同じような課題を抱えているお客さんが、この製品で課題を解決できるイメージを持てるように」といった具体的な目的を定めることで、ブレのないコンテンツをつくることができます。
7-2. 身近な情報から継続的に発信する
最初からプロのライターに頼んだり、お金をかけて大量のコンテンツをつくる必要はありません。
まずは、既存の営業資料や、お客さんからのよくある質問(FAQ)をブログ記事にしたり、社内向けのセミナー資料を公開するなど、身近にある情報を活用して情報発信を始めましょう。
そして、公開した記事のアクセス数をチェックしたり、どんな問い合わせがあったかを分析したりして、改善を繰り返していくことが大切です。無料のツールもたくさんあるので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
BtoB企業のウェブサイトが「総合カタログ」になってしまうのは、お客さん視点がないことと、お客さんの購買プロセスを無視した構造に原因があります。
しかし、「見込み客の課題解決」を第一に考え、戦略的にコンテンツを発信していけば、ウェブサイトは単なる情報の置き場から、お客さんとの信頼関係を築き、最終的にビジネスの成果に繋がる強力なマーケティングツールへと進化します。
ウェブマーケティングの経験が浅くても、日々の業務が忙しくても、この記事で紹介した考え方を理解し、できることから一歩ずつ行動に移してみてください。
焦らず、着実にお客さんにとって本当に役立つ情報を発信し続けることこそが、「見られる」だけでなく「選ばれる」ウェブサイトに成長するための最も大切な道筋です。
今、あなたの会社のウェブサイトは、カタログになっていませんか?
もしそうなら、この記事を参考に、明日からできる一歩を考えてみましょう。
